予防歯科とはPediatric dentistry
歯科医院は「お口の病気になったら行く場所」と思っている方が多いのではないでしょうか。確かに、痛みなどの異変を感じた場合は、すぐに歯科医院で治す必要があります。しかし、虫歯治療などで一度削った歯は、どんなに丁寧に治療しても元の健康な歯に戻ることはなく、弱くなります。これでは、お口の健康を維持することは難しくなってしまうので、削らずにすむよう、病気を予防することが大切です。その役割を果たすのが歯科医院です。つまり歯科医院は、「お口の病気を予防しに行く場所」でもあるのです。
ここでは、お口の病気を予防するために、歯科医院で行なうさまざまな処置を中心にご説明します。
予防歯科で行なう処置Treatment
PMTC
『PMTC』は、『Professional Mechanical Tooth Cleaning』の略で、歯科医師や歯科衛生士が専用機器を使って行なう歯のクリーニングです。
毎日きちんと磨いているつもりでも、歯並びやブラッシングの癖により、歯ブラシの届きにくい部分や汚れが溜まりやすい部分ができてしまいます。そこで、歯ぐきの縁から1~3mm下のプラークが多い歯面を中心として、徹底的にきれいにしていきます。特に、ブラッシングでは簡単に落とせないバイオフィルム(※)、たばこのヤニや茶シブのなどの着色汚れを落とすのに効果的です。
また、使用するペーストにフッ素が含まれているので、虫歯予防の効果が期待できます。終了後は爽快感が広がり、お口の中がさっぱりします。
1~3ヵ月に1回ほど受けていただくと、虫歯・歯周病の予防により効果的です。
エアフロー
重炭酸ナトリウムのパウダーと水を圧縮した空気を歯に吹き付け、ブラッシングでは落とせない、たばこのヤニ、コーヒー・紅茶・お茶などの茶シブを落とし、本来の歯の白さを取り戻す処置です。
ブラッシングでは簡単に落とせない着色汚れを落とすことができ、歯が白くなるので、清潔感のある口元へと改善できます。
喫煙される方や、ホワイトニングをご検討の方におすすめです。
フッ素塗布
『フッ素』は、動物界や植物界などあらゆる場所に存在し、私たちが日常的に摂取する肉・魚・野菜・果物などにも含まれている元素です。
フッ素には、酸の生成を抑制・自然治癒を促進・歯質強化する働きがあります。歯の表面に塗ることで膜ができるので歯に汚れがつくのを防ぎ、虫歯菌から歯を守ることができます。
フッ素塗布はお子さまが受ける処置と思われている方が多いようですが、大人が受けても同じ効果があります。
1回受けて終わりにせず、数ヵ月おきに繰り返し受けることで、さらに予防効果を高めることができます。小児歯科について
シーラント
お子さまの奥歯の噛み合わせ面の溝を、あらかじめレジン(白いプラスチック)で埋めておくことで、汚れが溜まらないようにし、虫歯になりにくくする処置です。
お子さまの歯は軟らかいうえに、奥歯の噛み合わせ面の溝は深く複雑な形状をしているので、汚れが溜まりやすくなります。また、歯ブラシが届きにくく、磨き残しができやすくなります。そのため虫歯を発症しやすくなるので、シーラントを受けることでその可能性を低くすることができます。
シーラントは、歯の溝に薄く伸ばすので、時間の経過や強く噛むことによってとれてしまいます。数ヵ月おきに歯科医院でチェックしてもらい、とれていたら再び処置してもらいましょう。
なお、シーラントはお子さまには効果的ですが、大人にはそれほどの効果は期待できません。大人の歯はお子さまの歯に比べて溝が浅く、それほど複雑な形状をしていないからです。もしシーラントを受けたとしても、お子さまに比べて噛む力が強いので、すぐにとれてしまいます。そのため、当院ではシーラントはお子さまにだけ行なっています。
小児歯科について
定期検診
歯科医院には「お口の病気を治す」だけでなく、「お口の病気を予防する」という大切な役割があります。
虫歯になった場合、治療することで症状は改善しますが、どんなに患部を削っても一度治療した歯は弱くなります。つまり、治療を繰り返すことで歯はどんどん弱くなってしまうのです。そうなると、お口の健康が損なわれ、生涯自分の歯を使い続けることが難しくなってしまいます。
お口の病気を予防し、生涯健康な歯で過ごすためにあるのが『定期検診』です。
定期検診では、主に以下のような処置を行ないます。
- 虫歯や歯周病のチェック
- インレー(詰め物)やクラウン(被せ物)のチェック
- 歯並びや噛み合わせのチェック
- 舌や頬などお口の中の粘膜のチェック
- ブラッシング指導
- 歯のクリーニング
- フッ素塗布やシーラント
これらの処置を定期的に受けることで、たとえ虫歯や歯周病になっていても早期発見・早期治療につながり、重症にならずにすみます。お口の状態にもよりますが、3~4ヵ月に1回は定期検診を受け、お口の健康を守ることが大切です。